秋田市のうまいもの

雄和・種沢地区の農業法人

まこと農産の農場

秋田市雄和。大仙市との境界付近、雄物川が大きく蛇行する地域の一角で農業を営む「まこと農産」。約1.7ヘクタールの畑と約2100坪の施設で、トマトや大根、小松菜などの季節野菜の栽培のほか、自社の加工所で農産加工品「燻り麦酒(ビール)漬け」の製造・販売も手がけている。
同農園のこだわりは、品種と農法を厳選し、手間をかけて畑の隅々まで目を配りおいしい野菜をつくること。そんな農園で勤務する佐藤樹(いつき)さんに話を伺った。

「まこと農産」の特徴

  1本ずつ収穫する大根

約40年前、樹さんの父・誠さんが始めた同農園。当初は木の芽など「つまもの」を扱っていたが、やがて野菜づくりに移行。1995年に法人化して現在に至っている。
樹さんは農業系の大学に進学したものの、家業に携わる意志はなかったが、2007年に地元に戻り、野菜づくりに加わった。
「まこと農産」では、大量生産が望めない現状を逆手に取り、小規模農家の強みを活かすのが信条だ。「コストを削ろうとすれば、削れる部分はあります。でもうちは、作り手にとって作りやすい野菜ではなく、お客様がおいしいと思うものを育てたい。小規模だからこそ、コストが割高になっても品種と農法を厳選して、おいしい野菜を作っていけます」と樹さんは力を込める。

糠ではなく「ビールで漬ける」漬物

立派に育った大根

「燻り麦酒(ビール)漬け」とは、名前のとおりビールで漬けたいぶりがっこ(※)。自社栽培の大根を使った主力商品として、一般的な糠ではなく、ビールで漬けて製造している。子どもや若い世代にも広く愛されるようにと、甘さと塩加減を絶妙なバランスで実現し、クセのないさっぱりとした味わいが特徴。ごはんのお供はもちろん、お酒のアテにもぴったりだとして、リピーターを増やしている。
(※)「がっこ」とは秋田弁で漬物のことで、煙などで燻ったがっこを「いぶりがっこ」と呼ぶ

「燻り小屋」で大根を燻す

大根づくりから加工まで一貫製造

雄和・種沢地区では「家庭の味」として親しまれていたビール漬け。樹さんも自宅で食べた経験があったが「もともと商品化するつもりはありませんでした。親戚におすそわけしたところすごく好評で、それなら販売しようと思い立ちました」と振り返る。

旧来の製法を守りながら、さらに大根づくりから漬け込みまで一貫して自社で行う同品。収穫した大根は、それぞれ形や大きさが異なるが、1本パックのほか、スライスや食べきりパックなど、不揃いのものも積極的に商品として活用。保存料を使1本パックのほかスライスパックもラインナップわず、安心安全な商品に仕上げて出荷している。
「うちの場合は、まずおいしい大根づくりから始まります。1本ずつ手作業で収穫した大根を、専用の『いぶり小屋』で約3日間、リンゴの木を使って燻ります。タイミングを見計らって取り出し、ビールに漬けてパッケージして、出荷する流れですね」

「微生物農薬」を活用する野菜づくり

同農園では、野菜づくりに納豆菌や乳酸菌などの有用微生物を配合した「オリジナル活力剤」を取り入れており、この活力剤には、樹さんが学んできた農業の知識が活かされている。病害虫が発生した場合を除き、化学農薬をできるだけ使わない。そのいっぽうで、活力剤を散布・施用して、土壌と野菜を元気づけるのが目的だ。
樹さんはこの農法が、野菜だけでなく農園の土壌を豊かにし、やがて持続的な農業が可能になると考えている。

「架空の農村」でインターネット通販

うめんず村ロゴ「うめんず村」とは、インターネット上で野菜や農産加工品を販売する通販サイト。2013年5月に「開村」した村の責任者は樹さんで、畑の育成状況や同社の会社紹介など多彩に掲載して積極的に情報発信。利用者の安心安全にもつながっている。
サイトの名前は秋田弁で「おいしい=うめ」と、「男たち=めんず」をかけあわせた造語で、おいしい野菜を消費者に提供したいという思いが詰まっている。

今後のこと

「まこと農産」の佐藤樹さん

「おいしい野菜を作りたいと思っているので、やっぱり『おいしい』と言ってもらえるのがうれしい。より多くの人に食べていただきたいですね」と樹さん。「5年後には、今の倍の規模にできるように努力していきたいですね」と意気込みを見せている。現在、秋田市の醸造所の地ビールとコラボした「ビール漬け」を企画中とのことで、新しい商品展開も期待できそうだ。

有限会社まこと農産 秋田県秋田市雄和種沢字小向野41
うめんず村 http://makotonohsan.com/ [外部サイト]

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